ストーカー被害が続き、「警察には相談したが、告訴までした方がよいのか」「被害届と告訴は何が違うのか」と迷う方は少なくありません。結論からいうと、ストーカー行為罪は現在、告訴がなければ処罰できない親告罪ではありません。そのため、身の危険があるときに告訴状の完成を待つ必要はなく、まず警察へ相談して安全確保を優先することが重要です。
一方で、加害者の処罰を求める意思を明確にして刑事手続を進めたい場合には、告訴という方法があります。この記事では、ストーカー被害における告訴と被害届の違い、告訴を考える際の証拠、告訴状へ整理しておきたい内容、警察へ相談するタイミング、探偵に依頼できる範囲を、生駒市で探偵業と行政書士業務を行う立場から整理します。
ストーカー被害で告訴を考えたら最初に知っておきたいこと
最初に重要なのは、「告訴しないと警察が動けない」と決めつけないことです。ストーカー行為罪は平成28年の法改正により非親告罪となっており、被害者からの告訴がないことだけを理由に処罰できない犯罪ではありません。
そのため、危険が迫っているときは「証拠が十分にそろってから」「告訴状を書き終えてから」と待つのではなく、110番通報や警察署への相談を優先してください。警察庁も、ストーカー被害については、被害を小さく見ず早めに相談するよう案内しています。
また、2025年12月30日施行の改正ストーカー規制法では、一定の場合に被害者からの申出を待たず警察が警告できる仕組みも設けられました。刑事手続としての告訴だけでなく、警告、禁止命令等、安全確保のための対応が並行して検討されることがあります。
告訴と被害届は何が違うのか
告訴と被害届は、どちらも犯罪被害を捜査機関へ伝える手段ですが、意味は同じではありません。大きな違いは、告訴には「犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思」が含まれる点です。
| 項目 | 被害届 | 告訴 |
|---|---|---|
| 主な意味 | 犯罪被害に遭った事実を捜査機関へ申告する | 犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思を示す |
| ストーカー行為罪との関係 | 捜査や警察対応の端緒となり得る | 処罰を求める意思を明確にする手続 |
| 注意点 | 提出しただけで逮捕や起訴が決まるわけではない | 受理されたとしても逮捕や起訴が保証されるわけではない |
刑事訴訟法は、犯罪によって被害を受けた人が告訴できることを定めています。ストーカー被害の当事者が、具体的な犯罪事実について処罰を求める場合には、この制度が問題になります。
ただし、ストーカー行為罪そのものは非親告罪です。つまり、告訴がなければ起訴できない犯罪ではありません。「告訴するかどうか」と「今すぐ警察へ相談するかどうか」は分けて考える必要があります。
なお、ストーカー被害の中に名誉毀損や器物損壊など別の犯罪が含まれる場合、犯罪ごとに告訴の要否や期間の問題が異なることがあります。複数の犯罪が関係しそうな場合は、早めに警察や弁護士へ確認するのが安全です。
どのような行為がストーカー規制法の対象になるのか
ストーカー規制法では、恋愛感情その他の好意の感情、またはその感情が満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行う一定の「つきまとい等」や、位置情報の無承諾取得等を規制しています。これらを同一の相手に反復して行うと、法律上の「ストーカー行為」に当たり得ます。
対象となり得る行為には、つきまとい、待ち伏せ、住居や勤務先付近での見張り、面会や交際の要求、拒否後も続く電話・文書・メール・SNSメッセージ、名誉を害する事項を伝える行為などがあります。GPS機器等を使った位置情報の無承諾取得に加え、2025年12月30日からは紛失防止タグ等を悪用した位置情報取得や取り付け等も規制対象に加えられています。
ただし、「一度連絡が来た」「偶然近くにいた」という事情だけで直ちにストーカー行為と断定できるわけではありません。行為の内容、反復性、目的、相手との関係、被害者が置かれた状況などを具体的に整理する必要があります。
告訴状を準備する前でも警察へ相談した方がよいケース
ストーカー被害では、刑事手続をどう進めるかより先に、安全確保が必要な場面があります。次のような事情がある場合は、告訴状の作成を優先せず、まず警察へ連絡してください。
- 自宅、勤務先、学校などで待ち伏せされている
- 相手が自宅敷地や建物内へ入ろうとしている
- 暴力を受けた、または「殺す」「危害を加える」などの発言がある
- 凶器を持っている可能性がある
- 位置情報を把握されている疑いがあり、行動先へ繰り返し現れる
- 家族、勤務先、学校など周囲の人にも接触が広がっている
- 警告や拒絶後に行為が強くなっている
今まさに危険が迫っている場合は110番、緊急ではないものの不安が続いている場合は最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」への相談が選択肢になります。奈良県内であれば、奈良県警察の相談窓口も利用できます。
ストーカー事案では、相談内容に応じて、警告、禁止命令等、捜査、安全確保のための援助など複数の対応が検討されます。「告訴を受理してもらえるか」だけに焦点を絞らず、現在の危険性を具体的に伝えることが重要です。
告訴を考えるときに整理しておきたい証拠と記録
告訴を検討する場合、最初から完璧な証拠一式をそろえなければ警察へ相談できないわけではありません。警察庁も、相談時点で証拠となる物や記録した物があれば持参するよう案内しています。重要なのは、後から見ても「いつ、どこで、誰が、何をしたのか」が分かる形で整理することです。
- 被害の時系列
日付、時刻、場所、相手の行動、自分がどのように対応したかを記録します。毎回同じ形式で記録すると、反復性を確認しやすくなります。 - メッセージや着信履歴
メール、SNS、SMS、着信履歴等は、送信日時やアカウント名が分かる形で保存します。スクリーンショットだけでなく、可能であれば元データも消さずに残します。 - 手紙や郵送物
封筒、消印、同封物も含めて保管します。嫌悪感からすぐ捨てたくなる場合でも、警察に見せる可能性を考えて写真を残すなどしてください。 - 写真・動画・防犯カメラ映像
自宅や勤務先付近での待ち伏せ、うろつき、車両等が記録されている場合は保存します。上書きされる防犯カメラは保存期限に注意が必要です。 - 第三者が確認した事実
家族、同僚、近隣住民などが見聞きした場合は、誰がいつ何を確認したかを整理します。 - 警察への相談履歴
相談した警察署、日時、担当部署、伝えた内容、警告や禁止命令等の有無が分かれば記録しておきます。
証拠を集めるために相手を追跡したり、相手のスマートフォンやSNSへ無断でログインしたり、敷地へ侵入したりすることは避けてください。被害者側の安全を損なうだけでなく、別の法的問題につながるおそれがあります。
告訴状には何を書けばよいのか
告訴は必ず専用の書式でなければならないわけではなく、刑事訴訟法上、書面または口頭で検察官または司法警察員に行うことができます。ただし、実務上は、複数回にわたるストーカー被害を分かりやすく説明するため、書面に整理して相談する方法が考えられます。
書面で整理する場合、一般に次のような事項を分かる範囲でまとめておくと、被害内容を説明しやすくなります。
- 告訴人の氏名、住所、連絡先
- 相手方の氏名、住所、勤務先等の分かっている情報
- いつ頃から、どのような関係にあったか
- 交際や連絡を拒否した時期と、その後の相手の行動
- 具体的な被害日時、場所、行為内容
- 同じような行為が繰り返されていること
- 相手の処罰を求める意思
- 添付する証拠や資料の一覧
相手の住所や勤務先が分からないからといって、警察相談そのものを諦める必要はありません。相手の氏名、顔写真、SNSアカウント、車両、交際当時の情報など、すでに分かっている範囲を整理して持参することが大切です。
また、告訴状には「法律用語を多く書けば通りやすい」というものではありません。むしろ、推測と確認できた事実を分け、被害の日時・場所・内容を具体的に記載することが重要です。どの犯罪が成立するかという法的評価に迷う場合は、弁護士への相談も検討してください。
告訴を取り消す場合には注意が必要
刑事訴訟法では、告訴は公訴の提起があるまで取り消すことができますが、いったん告訴を取り消した人は、同じ告訴を再度することができないとされています。相手から謝罪や連絡があったからといって、十分に検討しないまま取り消すことは避けた方がよいでしょう。
なお、ストーカー行為罪は非親告罪です。そのため、告訴を取り消したからといって、当然に捜査や処分がすべて終了するとは限りません。安全確保や今後の刑事手続に関係するため、取り消しを考える場合は、警察や弁護士へ相談した上で判断することが望まれます。
告訴が受理されても逮捕・起訴が決まるわけではない
告訴が受理された場合でも、その場で逮捕や起訴が決まるわけではありません。警察等による捜査を経て、最終的に公訴を提起するかどうかは検察官が判断します。
したがって、「告訴状を出せば必ず相手が逮捕される」「告訴すれば必ず有罪になる」と考えるのは適切ではありません。告訴は処罰を求める意思を明確にする重要な手続ですが、その後は証拠関係や捜査結果等を踏まえて判断されます。
逆に、告訴がまだできていないからといって、ストーカー被害への対応を止める必要もありません。現在進行中のつきまとい、待ち伏せ、連絡、位置情報の取得等がある場合は、その都度記録し、危険性が高まったと感じた時点で警察へ共有してください。
探偵が役立つ場面と依頼できないこと
ストーカー被害では、相手が誰か分からない、待ち伏せが不定期で自分では記録できない、勤務先や自宅付近で起きている行為を第三者の立場から確認してほしい、といった場面があります。このような場合、探偵が適法な範囲で行動確認、張り込み、聞き込み、写真・動画等による事実確認を行える場合があります。
一方で、探偵は警察のような捜査権限を持っていません。他人のスマートフォンへの無断アクセス、パスワード解析、無断GPS設置、住居や敷地への侵入などは行えません。また、ストーカー目的や復讐目的など、不当な目的による調査依頼を受けることもできません。
生駒法務探偵事務所では、探偵として適法な事実確認や証拠収集を検討し、行政書士としては依頼者の意思に基づく通知書等の文書作成を扱います。ただし、刑事手続における代理、告訴後の捜査機関との法的交渉、個別事件についての訴訟戦略や法律判断が必要な場合は、弁護士へ相談すべき領域です。
生駒市・奈良県でストーカー被害を相談する場合
生駒市や奈良県内でストーカー被害を受けている場合も、基本は安全確保を優先し、緊急時は110番、緊急ではない相談は最寄りの警察署や#9110を利用してください。被害場所が奈良市、大和郡山市、平群町、斑鳩町、三郷町、王寺町など周辺地域にまたがる場合でも、まず現在相談しやすい警察窓口で状況を伝え、必要な案内を受けるのが現実的です。
相談時には、相手との関係、いつから何が始まったか、現在最も怖いと感じている行為、相手が自宅や勤務先を知っているか、凶器や暴力歴など危険性に関する事情、保存している証拠を整理して伝えましょう。事情を短く説明できる時系列メモを1枚作っておくと、相談時の説明に役立ちます。
「これはストーカーに当たるのか分からない」という段階でも相談は可能です。自分だけで法的評価を決めてから相談する必要はありません。特に被害が継続している場合は、告訴の準備と安全確保を別々に考え、早めに警察と情報を共有することが大切です。
まとめ
ストーカー被害で告訴を考える場合、まず覚えておきたいのは、ストーカー行為罪は非親告罪であり、告訴がなければ警察が対応できないわけではないという点です。危険が迫っているときは告訴状の準備を待たず、110番や警察署への相談を優先してください。
告訴を検討する段階では、被害の時系列、メッセージ、着信履歴、手紙、写真・動画、第三者の目撃、警察相談履歴などを整理すると、被害の反復性や具体的な状況を伝えやすくなります。告訴が受理されても逮捕・起訴が保証されるわけではないため、刑事手続の見通しや法的判断が必要な場合は弁護士への相談が適切です。
相手が不明である、行為の記録が難しいなど、事実確認そのものに課題がある場合には、適法な範囲で探偵調査を利用できることがあります。生駒法務探偵事務所でも、警察・弁護士の職域と混同しない範囲で、ストーカー被害に関する事実確認や証拠収集について相談を受けています。
生駒法務探偵事務所へのご相談
| 名称 | 生駒法務探偵事務所 |
|---|---|
| 代表者 | 大倉雄偉(おおくらゆうい) |
| 所在地 | 奈良県生駒市山崎町3番11-1号 |
| 取扱業務 | 浮気・不倫調査/人探し・所在調査/素行・行動調査/ストーカー・嫌がらせ対策/親族・相続人調査/企業・信用調査/盗聴器・盗撮器発見/行政書士業務 |
| 探偵業届出番号 | 奈良県公安委員会第64250013号 |
| 受付時間 | 10:00〜20:00(事前予約制) |
| 事務所案内 | 行政書士×探偵による、調査と法務の一貫支援 |

